2026.09.21 北海道大学 元発表:2026.09.17

北海道大学ら、南極の氷河由来の淡水を三次元で推定する手法を開発

ニュース紹介

「南極の「氷河由来の淡水」を三次元で捉える新手法を開発~トッテン棚氷周辺の融解水量を海洋観測から推定~」

北海道大学大学院地球環境科学研究院の渡辺豊特任准教授、同大学低温科学研究所の平野大輔准教授、国立極地研究所の真壁竜介准教授、海洋研究開発機構の中野善之副主任研究員、東京海洋大学の溝端浩平准教授らの研究グループは、南極の氷河が海に流れ込んで生じる淡水の分布を、海洋観測データから三次元で推定する手法を開発したと発表しました。重回帰分析ニューラルネットワークを組み合わせ、水温・塩分・溶存酸素・水圧から溶存無機炭素を推定します。東南極のトッテン棚氷とモスクワ大学棚氷の周辺に2012~2024年の観測を適用し、淡水の影響が棚氷の前面から南緯64度まで広がることを示しました。成果は科学誌Nature Communicationsに掲載されています(DOI: 10.1038/s41467-026-77441-z)。

出典:北海道大学 2026年9月17日 プレスリリース(掲載誌:Nature Communications/オンライン掲載:2026年9月11日)
https://www.hokudai.ac.jp/news/2026/09/post-2445.html

FrontJournalの解説

棚氷の融解水を測る難しさ

南極の棚氷は、陸地の氷河が海に張り出してできた氷で、その下側や縁から融けた水が海に加わります。融解水の量は海面の変化や海洋の循環に関わりますが、衛星観測では海の中に広がる融解水の分布を捉えにくいとされています。研究グループは、船などで得られる海洋観測データから、この分布を調べる方法を考えました。

①観測値から溶存無機炭素を推定

新手法では、水温・塩分・溶存酸素・水圧から、海水中の溶存無機炭素重回帰分析ニューラルネットワークで推定します。海洋内部の物理的・生物学的な変化から予測される値との差を手がかりに、氷河由来の淡水の割合を求めます。淡水の端成分の組成をあらかじめ設定しなくても割合を推定できる点が特徴です。

②年間の淡水供給量を見積もる

研究グループは、この手法を東南極のトッテン棚氷モスクワ大学棚氷の周辺に適用し、2012~2024年の観測から淡水供給量を見積もりました。年間の供給量は、トッテン棚氷で70±7ギガトン、モスクワ大学棚氷で53±9ギガトンです。衛星観測では捉えにくい海中の融解水を、広い範囲で継続的に監視する手法への発展が期待されています。

編集部からひとこと

今回の発表は観測データ解析手法の開発であり、将来の海面上昇の予測値そのものには言及していません。海洋の中で見えにくい融解水を数値として示せれば、棚氷の変化を監視する材料が増えると考えられます。詳細は北海道大学の公式発表およびNature Communications掲載論文をご参照ください。

FrontJournal編集部

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本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

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