2026.09.21 北海道大学 元発表:2026.09.15

北海道大学、微生物と電気で硝酸をアンモニウムに変換

ニュース紹介

「微生物と電気の力でアンモニウムの再生に成功~サステイナブルな窒素循環社会の実現に期待~」

北海道大学大学院工学研究院の崔閏晶博士研究員と押木守准教授らは、溶液中を自由に拡散する電子伝達体を利用した生物電気化学プロセスにより、硝酸(NO₃⁻)をアンモニウムイオン(NH₄⁺)へ変換する技術を開発したと発表しました。電子伝達体が溶液内を漂うことで、溶液中の微生物全体へ電子を供給できます。硝酸濃度が約1 mMという希薄な条件で、従来のバイオフィルムを用いた方法に比べて最大8倍以上の高速化を達成し、金属触媒を使う方法より少ないエネルギーで変換できるとしています。成果は科学誌Chemical Engineering Journalに掲載されています(DOI: 10.1016/j.cej.2026.181710)。

出典:北海道大学 2026年9月15日 プレスリリース(掲載誌:Chemical Engineering Journal/論文公開:2026年9月7日)
https://www.hokudai.ac.jp/news/2026/09/post-2443.html

FrontJournalの解説

硝酸汚染と窒素資源の回収

硝酸は、肥料や排水に含まれる窒素化合物で、水環境に流れ出すと汚染の原因になります。一方、アンモニウムは肥料などの窒素資源として使われる物質です。硝酸をアンモニウムに変えられれば、汚染への対処と資源の回収を同時に進められます。研究グループは、この変換を微生物と電気の力で行う方法に取り組みました。

①電子伝達体が溶液中を漂う仕組み

従来のバイオフィルムを用いた方法は、電極の表面に付着した微生物に電子を渡す仕組みで、変換の速度が遅い点が課題でした。今回のプロセスでは、溶液中を自由に拡散する電子伝達体が電子の運び役になります。電子伝達体が溶液の中を漂うため、溶液中の微生物全体へ電子を届けることができ、硝酸アンモニウムイオンへの変換が進みます。

②希薄な硝酸でも最大8倍以上の高速化

処理の対象は、硝酸が約1 mMという薄い溶液です。この条件で、従来のバイオフィルム法に比べて最大8倍以上の速度を達成しました。金属触媒を使う方法と比べると、変換に必要なエネルギーが少ない点も特徴です。硝酸汚染への対策と窒素資源の回収を両立する技術として、持続可能な窒素循環社会への貢献が見込まれています。

編集部からひとこと

今回の成果は実験室での基礎研究段階であり、実際の排水処理への導入時期や処理規模への言及はありません。汚染物質として扱われてきた硝酸を資源として取り戻す考え方は、水処理と肥料の分野をつなぐ視点として注目されます。詳細な実験データは北海道大学の公式発表およびChemical Engineering Journal掲載論文をご参照ください。

FrontJournal編集部

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本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

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