2026.11.05 │ 大阪大学・JST │ 元発表:2026.10.30

大阪大学、ペロブスカイト太陽電池の成膜をロボットで自動化

ニュース紹介

「化学×ロボット×AI 太陽電池作製の溶液プロセスを自動化し、多様なパラメーターを取得解析する手法を開発~ペロブスカイト太陽電池素子プロセスへ応用~」

大阪大学大学院工学研究科の西久保綾佑講師、佐伯昭紀教授らの研究グループは、太陽電池薄膜の溶液成膜プロセスをロボットで自動化する装置を独自に開発しました。成膜中の温度、湿度、酸素濃度、溶媒蒸気濃度などの環境パラメーターを観察し、スピンコートおよび熱アニール中の色変化をUSBカメラで、1秒程度で完了する貧溶媒滴下の様子をハイスピードカメラで観察しました。

取得したデータを機械学習で解析し、その結果を鉛ペロブスカイト太陽電池の素子作製にフィードバックして、変換効率24.4%を実証しました。ペロブスカイトの組成によって環境、特に温度の影響の大きさが異なること、貧溶媒滴下の高さと速度が膜物性に大きく影響することもわかりました。本成果は、2026年10月27日に米国化学会誌「ACS Nano」にオンライン掲載されました。

出典:大阪大学・科学技術振興機構(JST) 2026年10月30日 プレスリリース/掲載誌:ACS Nano/DOI:10.1021/acsnano.6c11386
https://www.jst.go.jp/pr/announce/20261030/index.html

FrontJournalの解説

ペロブスカイト太陽電池と成膜のばらつき

今回の研究は、ペロブスカイト太陽電池の薄膜を作る工程を、ロボットとデータ解析で改善したものです。「大阪大学」と「JST」(科学技術振興機構)の発表によると、鉛ペロブスカイト太陽電池は溶液塗布プロセスで作製でき、低価格化や軽量化が期待される次世代太陽電池として研究が進んでいます。

一方で、溶液プロセスでは温度や湿度などの環境要因が膜質に複雑に影響し、同じ条件でも膜質がばらつく問題がありました。特に手動の成膜工程がばらつきの大きな要因で、成膜中の環境変動は数値化されずに見過ごされることが多かったとされています。

①成膜中の環境と様子を、数値と映像で記録

研究グループは、スピンコート(基板を回転させて溶液を広げる成膜法)や熱アニール(加熱して膜を処理する工程)を含む溶液成膜を、ロボットで自動化する装置を開発しました。成膜中の温度・湿度・酸素濃度・溶媒蒸気濃度を記録し、色の変化をUSBカメラで撮影しています。

1秒程度で終わる貧溶媒滴下(溶液に溶けにくい液体を滴下する工程)は、ハイスピードカメラで観察しました。評価には、別途開発したロボット自動評価装置を用い、光物性・時間分解マイクロ波伝導度・光学顕微鏡像を測定しています。

②機械学習で解析し、素子作製へフィードバック

取得したデータを機械学習で解析した結果、ペロブスカイトの組成によって、環境、特に温度の影響の大きさが異なることがわかりました。貧溶媒滴下の高さと速度も、膜物性に大きく影響していました。研究グループはこれらの結果を鉛ペロブスカイト太陽電池の素子作製にフィードバックし、変換効率24.4%を実証しています。

発表では、この装置は他の太陽電池半導体薄膜の材料やプロセスにも適用でき、溶液プロセスが必要な他分野にも応用できるとしています。AI for Scienceやラボオートメーションの分野で、先駆的な事例になることが期待されています。

FrontJournalからのひとこと

成膜中の環境変動という、これまで数値化されずに見過ごされがちだった要素を、ロボットとデータ解析で捉えた点が今回の特徴です。他の薄膜材料やプロセスへの展開がどう進むのか、注目しています。

FrontJournal編集部

本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

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