2026.09.21 京都大学 元発表:2026.09.11

京都大学ら、衛星の濁り観測で沿岸ブルーカーボンを広く把握する可能性

ニュース紹介

「地球観測衛星しきさいから沿岸域の「ブルーカーボン」を広域的に把握する新たな可能性―相模湾・駿河湾で衛星観測による懸濁物質量と河川・海草藻場との関係を確認―」

京都大学大学院情報学研究科の土居秀幸氏らの研究グループは、日本の地球観測衛星GCOM-Cしきさい」の観測データから推定される全懸濁物質を用いて、沿岸域のブルーカーボン分布を広域的に把握できる可能性を検証したと発表しました。2023年の観測から得た全懸濁物質量を、相模湾駿河湾河口からの距離および海草藻場の分布と比べたところ、両湾で河口から離れるほど値が有意に低下しました。環境省の調査で海草藻場が確認されている場所では、周辺の沿岸海域より値が有意に高くなりました。これらの結果は、全懸濁物質量がブルーカーボンに関連する粒子状有機物の分布を部分的に反映している可能性を示しています。成果は8月15日付で英文誌Environmental Advancesに発表されました。

出典:京都大学 研究成果 2026年9月11日/掲載誌:Environmental Advances
https://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research-news/2026-09-11

FrontJournalの解説

藻場の有機物を広く見たい

海草藻場などの沿岸生態系は、大気中の二酸化炭素を吸収して固定するブルーカーボン生態系として注目されています。人工衛星によるリモートセンシングの研究は、これまで海草藻場そのものの分布や面積の把握が中心でした。藻場などから海中へ放出、輸送される有機物を広い範囲で把握する方法は、十分に検討されていませんでした。

①水の濁りを示す指標に着目

研究グループは、しきさいに搭載されたセンサSGLIのデータから推定される全懸濁物質量に着目しました。全懸濁物質量は、海水中を漂う有機物や土砂などの細かな粒子の量、つまり水の濁り具合を表す指標です。沿岸域では、河川や海草に由来する粒子状有機物もこの指標の構成要素になるため、分布が反映されている可能性があります。

②相模湾と駿河湾で解析

2023年しきさいの観測から得た値を、河口からの距離および海草藻場の分布と関連づけました。その結果、両湾で河口から離れるほど値が有意に低下し、海草藻場が確認されている場所では周辺の沿岸海域より有意に高くなりました。藻場に由来する有機物や、藻場の内部で捕捉される懸濁物質の分布も、部分的に反映している可能性があるとしています。

編集部からひとこと

今回の成果は2つの湾での検証で、衛星の値がブルーカーボンの量そのものを示すと結論づけたものではありません。衛星観測を使って沿岸のブルーカーボンを広く評価する新たな手法につながる成果として注目されます。詳細は京都大学の公式発表および掲載論文をご参照ください。

FrontJournal編集部

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