2026.09.16 京都大学 元発表:2026.09.14

京都大学ら、人工ナノ粒子と細胞外小胞の細胞への侵入経路の違いを解明

ニュース紹介

「見た目はそっくりでも細胞への侵入経路は違う」

京都大学大学院薬学研究科の金尾英佑助教、石濱泰教授、同大学院工学研究科の水田涼介助教、佐々木善浩教授、同大学高等研究院秋吉一成特定拠点教授理化学研究所生命医科学研究センターの今見考志ユニットリーダーらの研究グループは、人工的に作製した細胞由来ナノベシクル(CDN)と、天然に存在する細胞外小胞が細胞に取り込まれる経路を、それぞれのナノ粒子と受容細胞の双方のプロテオーム情報を読み解くことで同定する新しい計測技術を開発したと発表しました。

細胞外小胞は、生体になじみやすく、薬や機能性分子を目的の細胞へ届けるナノキャリアとして注目されています。CDNはその代替候補ですが、自然に分泌される細胞外小胞と同じ仕組みで細胞に取り込まれるかは、十分に分かっていませんでした。

解析の結果、サイズや表面電荷がよく似た両者でも、構成するタンパク質成分や受容細胞との接触の仕方が異なることが分かりました。両者に共通する経路としてマクロピノサイトーシスが、CDNに特有の経路としてクラスリン依存性またはCLIC/GEEC関連の経路が示されました。本成果は国際学術誌『Small Methods』に2026年9月2日に掲載されました。

出典:京都大学・理化学研究所 2026年9月14日 プレスリリース
https://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research-news/2026-09-14-1
https://www.riken.jp/press/2026/20260914_1/index.html

FrontJournalの解説

この研究分野について

細胞は、細胞外小胞エクソソームなどの小さな袋状の粒子)を外へ放出し、ほかの細胞との間でタンパク質などをやり取りしています。細胞外小胞は体になじみやすいことから、薬を目的の細胞まで運ぶナノキャリア(薬の運び役)として研究が進んでいます。

そこで、細胞から人工的に作る細胞由来ナノベシクルCDN)が、天然の細胞外小胞の代わりとなる候補として検討されています。

①似た粒子でも入り方は不明だった

CDN天然細胞外小胞は、大きさや表面電荷(表面の電気的性質)がよく似ています。しかし、細胞に取り込まれる仕組みまで同じかどうかは、十分に分かっていませんでした。

薬を運ぶ粒子として使う場合、どの経路で細胞に入るかを知ることは、狙った細胞へ届く粒子を設計するうえでの手がかりになります。

②タンパク質の情報で入口を識別

研究グループは、粒子の側と、粒子を受け取る細胞の側の両方について、プロテオーム(含まれるタンパク質の全体像)を読み解く計測技術を開発しました。

その結果、両者に共通する経路としてマクロピノサイトーシス(細胞膜が大きく波打って周囲の液ごと取り込む仕組み)が、CDNだけに見られる経路としてクラスリン依存性またはCLIC/GEEC関連の経路が示されました。見た目が似ていても、構成するタンパク質や細胞との接し方が異なることが分かりました。

編集部からひとこと

薬を運ぶ粒子の研究では、大きさや表面の性質をそろえることに関心が向きがちです。今回の成果は、それらがそろっていても細胞への入り方が異なりうることを示しました。研究グループは、狙った細胞へ届きやすいナノキャリアの設計や治療技術に役立つ計測基盤になるとしており、細胞外小胞を使った創薬研究評価手法として注目したい成果です。

FrontJournal編集部

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本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

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