株式会社エキュメノポリスは会話AIエージェントで英会話能力を判定する早稲田大学発の企業

株式会社エキュメノポリス

エキュメノポリス「会話AIエージェント」を研究|研究領域=AIと英語で対話し話す力を測る/強み=学習者に合わせ話題を切り替える/将来性=試験の日だけでなく毎日の学習で使う

企業紹介|株式会社エキュメノポリスとは?

話す力を対話そのもので測る技術として、注目を集める「会話AIエージェント」。株式会社エキュメノポリスは、その社会実装を目指す、早稲田大学発のAI系ディープテック企業です。英会話能力を判定するサービス「LANGX Speaking」を、大学や通信教育、検定の現場へ提供しています。

キーワード「会話AIエージェント」

「会話AIエージェント」は、人と自然にやり取りしながら、話の内容と話し方の両方を読み取る対話システムです。特徴は、相手の理解の状態に合わせて話題を変えながら、会話そのものから能力を測れる点にあります。大学の授業や検定の対策で、試験官を待たずに何度でも面接形式の練習を受けられます。

市場課題|英語の話す力の評価が難しい

現状の話す力の測定の課題|試験官が必要で実施回数が伸びにくい/自動採点は対話の力を測りにくい

試験官が必要で回数が伸びにくい

英語で話す力を測る機会は、試験官を確保できる範囲に限られます。対面のインタビュー試験では、訓練を受けた試験官が受験者と一対一で向き合い、評価を付ける方式です。試験官の人数と日程で実施できる回数が決まるため、学習者は希望する時期に受けにくくなります。

自動採点は対話の力を測りにくい

英語の話す力を機械が評価する自動採点は広がっていますが、やり取りを続ける力までは測りにくい状況です。発音の明瞭さや話す速さは音声から数値にしやすい一方、相手の質問に応じて話を組み立てる力は、音声の特徴だけでは捉えにくいためです。学習者にとっては、練習の成果が数値に表れにくく、上達を確かめにくい状態が続きます。

他にも、話題によって難しさが変わる採点の基準、受験者の緊張が声と表情に表れて生じる評価のぶれ、学習者ごとに異なる上達の道筋を残す記録の手立て、といった課題があるといわれています。

FrontJournalの解説
  • 自動採点音声認識と評価モデルを使い、話した内容を機械が点数に変える方式を指す。発音や話す速さのような数値にしやすい特徴を扱う一方、やり取りを続ける力の評価は難しいとされる。

エキュメノポリスの強み|「会話AIエージェント」を研究

エキュメノポリスが「会話AIエージェント」を研究|AIが面接官役で何度でも受けられる/音声と表情から対話の力を判定

AIが面接官役で何度でも測定

対面のインタビュー試験は、話題の選び方から評価までを人が担うため、同じ条件の面接を数多く用意しにくい面がありました。

LANGX Speaking」は、会話AIエージェント「InteLLA」が面接官役を務め、同じ条件の面接を何度でも受けられるサービスです。「InteLLA」は、返答の内容という言語の情報に加え、声の調子や表情という言語以外の情報も読み取り、人と話すような受け答えを続けます。話題は固定されておらず、対話の途中で推定した能力の水準に合わせて、身近な話題から社会問題まで難しさが切り替わります。そのため学習者は、得意な話題だけで終わりません。この話題を切り替える方式は特許出願済みです。

音声と表情から対話の力を判定

これまでの評価では、相手の話にどう反応したかを点数にする手立てが定まりにくく、扱える観点が限られていました。

「InteLLA」の判定モデルは、音声音響(声の高さや速さ)、言語(話した言葉)、談話(話のまとまり方)、顔の表情を同時に扱います。評価のものさしはCEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)です。見るのは、語彙の豊富さや文法的な正しさ、流暢さや発音の良さ、対話の運び方や話の一貫性といった観点です。複数の種類のデータをまとめて解析するこうした会話AIは、マルチモーダル会話AIと呼ばれます。対話が終わると観点ごとの結果が学習者へ返り、次に何を練習すればよいかが分かります。

FrontJournalの解説
  • マルチモーダル会話AI話した言葉に加えて、声の調子や表情など複数の種類の情報を同時に解析する会話AIを指す。一つの手がかりが不確かなときに、残りの情報で補える構成をとる。

会話AIエージェントの未来|大学から通信教育と検定へ広がる

英語を測る会話AIが変える未来|大学の正規授業にLANGXが入る/通信教育と検定へ利用が広がる/話す力を測る共通基準を目指す

大学の正規授業で判定を実施

「LANGX Speaking」は、早稲田大学の正規授業「Tutorial English」ですでに使われています。1グループ最大4名の少人数で英語を話すこの授業は、2002年の開講以来、毎年延べ約1万人が履修してきました。2023年度からは、受講者の英会話能力の判定に「LANGX Speaking」が採用されています。授業の前後で判定を受ければ、学習者も担当教員も伸びを同じものさしで確かめられます。

通信教育と検定へ広がる

LANGX」は学校の外へも広がっています。通信教育のZ会は、対話型の英語学習サービスを「Z会 AI Speaking powered by LANGX」として2026年7月1日から提供を始めました。日本英語検定協会とは、英語教育の高度化を目的とした共同研究を進めています。第一弾として、模擬面接の結果を、英検の実力を数値で示す「英検CSEスコア目安」や「英検級目安」として返す機能を「LANGX」へ搭載する計画です。

話す力を測る共通基準を目指す

同社が目指すのは、「試験会場の中だけでなく、日々の学習の場でも話す力を測る共通の基準を築くこと」です。英検協会との共同研究では、英検公式の生涯学習プラットフォームを通じて、日常の練習の結果が学習者の記録として積み上がる形が示されています。法人向けでは、交渉やプレゼンテーション、議論を想定した対話の練習へ対象を広げる計画です。会話AIエージェントが日常に入るほど、話す力を測る機会は増えると見込まれます。

会社概要|エキュメノポリスの事業内容・設立背景

早稲田大学の研究から事業化

株式会社エキュメノポリスは、2022年5月2日に東京都新宿区で設立されました。創業の中心となったのは、早稲田大学グリーン・コンピューティング・システム研究機構 知覚情報システム研究所の松山洋一氏です。同氏は代表取締役CEOを務めています。同研究所で進めてきた会話AIの研究成果を、語学教育の現場で使える形にすることを目的としています。「InteLLA」の開発には、教育・総合科学学術院やグローバルエデュケーションセンターの研究者も専門家として加わりました。

英検協会や大学と連携を拡大

同社は、大学、検定機関、通信教育の各分野へ連携を広げています。早稲田大学とは、正規授業「Tutorial English」への「LANGX Speaking」の導入で協力してきました。2026年1月には日本英語検定協会とパートナーシップを結びました。Z会とは、2026年7月から対話型の英語学習サービスで協業しています。

総額約2.5億円の調達を完了

同社は、Pre-Aラウンド総額約2.5億円の調達を完了しています(2025年3月時点)。Pre-Aラウンドは、事業の形を固めながら製品を実際の現場で試していく、初期の資金調達段階にあたります。1stクローズにはBeyond Next Venturesや科学技術振興機構、三菱UFJキャピタル、マニエスグループなどが、2ndクローズにはQBキャピタル・NCBベンチャーキャピタルや静岡キャピタルが運営するファンドが参加しました。

会社情報

会社名株式会社エキュメノポリス
所在地東京都新宿区西早稲田1-22-3 早稲田大学19-3号館。本社オフィス:東京都新宿区早稲田町27 早稲田大学グリーン・コンピューティング・システム研究センター
設立2022年5月2日
代表代表取締役CEO:松山洋一(早稲田大学グリーン・コンピューティング・システム研究機構 知覚情報システム研究所 客員主任研究員)
資本金1億円(2026年1月時点)
調達Pre-Aラウンドで総額約2.5億円(2025年3月)。Beyond Next Ventures。科学技術振興機構。三菱UFJキャピタル。マニエスグループ。QBキャピタル・NCBベンチャーキャピタルが運営するファンド。静岡キャピタルが運営するファンド
事業会話AIエージェントプラットフォーム及びそのアプリケーションの開発。英会話能力判定サービス「LANGX Speaking」の提供
技術領域会話AIエージェント「InteLLA」。音声・音響・言語・談話・顔の表情を統合して解析するマルチモーダル会話AI。CEFRに準拠した英会話能力の判定(話題を適応的に切り替える方式は特許出願済み)
連携早稲田大学(正規授業「Tutorial English」・2023年度〜)。日本英語検定協会(2026年1月)。Z会(2026年7月)
採択SXSW EDU 2023「Launch」ファイナリスト(東アジアから唯一選出)
URLhttps://www.equ.ai/ja/

編集後記|FrontJournal編集部より

語学の学習では、読む力や聞く力に比べて、話す力を測る手段が限られてきました。エキュメノポリスが取り組むのは、その測定を人手から解き放ち、学習の場そのものへ持ち込むことです。対話の相手をAIが務めるため、測定と練習が同じ時間の中で起こります。

注目したいのは、単なる採点の自動化ではなく、相手に合わせて話題を動かす設計を選んでいる点です。難しさを固定しない対話は、得意な話題だけでは見えない到達度まで測る手がかりになります。測って終わりにせず、次の一歩まで示す仕組みへ向かっています。

話す力を確かめる機会が、試験の日だけでなく毎日の学習に開かれていくことを期待しています。

FrontJournal編集部

本記事は、FrontJournalが公開情報をもとに独自に分析した第三者コンテンツであり、対象企業・研究機関の公式見解ではありません。

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